【北海道旅(2回目)】積丹半島で、しゃこたんブルーを心に刻む

目指すは【積丹ブルー】

今となっては、どこで積丹半島のことを知ったのか覚えていない。旅行関係の雑誌だったのか、どこかでもらったパンフレットだったのか。もはや覚えていないのだが、そこに掲載されていた青い海(積丹ブルーと呼ぶらしい)が本当に美しかった。【積丹半島 = 一度は行ってみたい場所】という印象が私の中に存在していた。

1回目の北海道旅では、こちらまで足を伸ばす時間がなかったのだが、また北海道に来るチャンスがあるのならば行ってみたい場所。しかし、なかなか気軽に行ける場所が積丹半島に抱いていたイメージだった。ところが1回目の北海道旅から、わずか数ヶ月後に北海道を旅することになるとは、人生というのは予想外の連続である。しかし、行ける時に行かないと、次は何年後になるかわからない。目指すは「積丹ブルー」いそいそと準備をして飛行機に乗ったのだった。

レンタカーで札幌を出発

前日宿泊した札幌のホテルをチェックアウトし、レンタカーを借りる。本日から3日間、この車が私たちの相棒となる。手続きを済ませ、まずナビにセットしたのは神威岬である。「神威」という言葉の響きが「北海道を旅している」気分になる。積丹半島では岬の灯台まで歩く予定なので天気が重要なのだが、今のところ午後の早い時間までは晴れの時間が続きそうだ。左右確認、さて出発だ。

札幌市内から積丹半島までは、有料道路を使用して約100キロというところ。小樽周辺までは若干車の量もあったが、そこから先は対向車も少なく順調に走行することができた。ナビの案内に従って、駐車場に車をとめる。すでに観光バスが数台駐車していて、周囲には私たちと同じ観光客らしい人たちで賑わっていた。風が強い。車のドアを開けると、風でドアが開いてしまう。荷物を車の中に置き、身軽になってから出発する。

女人禁制の門で、記念撮影

資料によると駐車場から先端の灯台までは、片道約30分ほどで到達できるそうだ。9月上旬というとまだ暑さが厳しい時期だが、北海道の9月はとても過ごしやすい。夏を過ごすには北海道が最適だと思う。歩いて散策するには、ちょうど良い気候だ。

緩やかな傾斜が続く道を ゆっくりと歩いていくと「女人禁制の門」に到着する。神威岬は、明治時代の初期まで女人禁制だった。もちろん、現在では女性の立ち入りも可能だし、私たちのような観光客も足を踏み入れることができる。150年ほど前は、女性がここから先は進めなかったのだな、とぼんやり考えながら「女人禁制の地 神威岬」と書かれた門の前で記念写真を撮り、先に進んでいく。

積丹ブルーが、目に染み込んでくる

女人禁制の門をくぐり少し先に進むと、チャレンカの小道と名付けられた遊歩道が灯台の先まで続いていくのが見える。その道を、観光客が連なって歩いていく様子が目の前に広がっている。爽快だ。山の稜線を歩いていた時の記憶が頭に浮かんでくる。登山の場合は数時間かけて縦走するが、歩き始めて数分でこのような絶景を目にすることができるのは嬉しい。時間がない方でも、ここまでは歩いてみるとよろしいかと思います。おすすめです。

空には初秋のまっすぐな太陽が降り注ぎ、横からは海からの風が吹き抜けていく。時折強めの風に帽子が飛ばされそうになるので、注意が必要だ。そして目の前に広がる、青い空、青い海。これが「積丹ブルー」だ。目を通して、脳の奥までブルーが広がっていく。

藍色と山吹色のグラデーション

私は世の中に存在する色の中で、青系の色が好きだ。その中でも、藍色と山吹色の中間位の色彩が好みなのだが、積丹半島の海の色は、私好みの色がグラデーションで広がっている。この色彩はスマホのカメラでは撮影できないだろうと思いつつも、写真を撮る。実家のクローゼットにしまいこんである一眼レフカメラを持ってくればよかったとも思う。飛行機で移動するときは「重いから」という理由で、一眼レフカメラを持ってくる回数が減ったのだが、このような風景を目にすると、そんな軟弱な自分を戒めたくなる。

左を見たり右を見たり写真を撮ったりしながら歩いていくと、展望台に到着した。視界を遮るものは何もない。緩やかにカーブしている水平線を見ると、地球は丸いのだと実感する。

展望台の先に「神居岩」という、海から1本柱が立ったかのような岩が見える。積丹観光協会のwebサイトによると「悲しみと恨みを抱いたチャレンカの身体は神威岩と化し」たという伝説が残っているのだそう。確かに女性がずっと遠くの海を眺めているような、そんな雰囲気のある景色だ。古の人たちはこの景色を見て、様々なストーリーを想い描いたのだろうと思う。そして伝説を守り続けてきたのだろう。この風景をこの心地よい雰囲気で堪能することができただけで、今回の北海道旅は成功だったと思った。

佐藤ゼミでは、文学作品を通して「考えるヒント」を提供していきます。夏目漱石・芥川龍之介・太宰治・宮沢賢治など、日本を代表する文豪の作品から海外文学まで、私(佐藤)が読んできた作品を取り上げて解説します。チャンネル登録(無料)&高評価で応援お願いします。


人気のある記事

カシヤマのオーダースーツで、礼服をつくる。【オンワード樫山】

【買い物】ヘインズTシャツは「青ラベル」と決めていた、のだが。【青ラベルから、ゴールドラベルへ】

【Youtube 佐藤ゼミ】志賀直哉「小僧の神様」あらすじ解説

50歳になって、考えたこと。【思えば遠く来たもんだ(中原中也 頑是ない歌より)】

【Youtube 佐藤ゼミ】志賀直哉「正義派」【あらすじ解説】