鹽竈神社へ初詣。【宮城県】

今年の初詣は塩竈神社へ詣でた。初詣へ詣でる、と書くということは、頭痛が痛い、ということと同じだな、と思うのだが「詣でる」という言葉を使いたかったので、あえて並べて書いてみた。なので「使い方がおかしいのでは?」と感じた方は「そういうことなのか」と思っていただきたい。

さて、塩竈神社は「東北鎮護・陸奥国一之宮」であり、御祭神は「別宮に主祭神たる塩土老翁神・左宮に武甕槌神・右宮に経津主神を祀る」神社である。

主祭神である塩土老翁神は、日本神話の「海幸山幸」に登場する神様なのだそうだ。「山幸彦」が「海幸彦」の釣り針を紛失してしまって困っている時に現れ「この小舟に乗っていけば海神の宮へ着くから、そこで待っていなさい」と、山幸彦に助け舟を出したのが、この塩土老翁神なのだそうだ。

高校生の頃に、この話を本で読んでから「神話にも登場する神様が祭られている神社 =ご利益がありそうだ」と感じ(単純である)それ以来、初詣は塩竈神社へ詣でることにしてきた。なので、正月は「しおがまさま(地元の人達は、このように呼びます)」に行かないと一年が始まった気がしないな、というくらい自分にとっては馴染み深い神社になっている。

今年は「拝殿工事中」ということで入場規制がかかっていて、階段の下で40分ほど並んで待たなければいけなかった。風邪気味だったので「待っている間に、風邪をこじらせたら意味がないな」と思い、途中で帰ろうかどうしようか、と迷っているうちに結局最後まで並んでしまった。

列に並んでいる時に、横にいた50代中頃の男性が奥さんに向かって「なんで列が進まないんだ? みんな何をそんなに祈ることがあるんだ?オレなんて、ちゃっちゃと終わるぞ」というようなことを、ずっとボヤいていた。さらに「もう2時だから、終わって帰ってから飯を食うとなると4時過ぎくらいになるだろ? すると昼飯なのか夕飯なのかわからないなあ。お前はどう思う?」などということを大きな声で言い始めたため、見かねた奥さんが「そんなのどうでもいいでしょ!」とピシャリと注意して、その後は沈黙してしまった。

話の内容が、ちょっと面白くなりかけていた自分としては、やや残念だったのだが、とにもかくにも、そんなボヤキを聞いたり、退屈した子供が妹をからかって遊んでいる様子などを眺めたりしているうちに、ようやく拝殿に到着することができた。

今年は震災の復興祈願と心願成就の気持ちを込めて、昇殿参拝をさせていただいた。自分はそんなに縁起をかつぐ方ではないのだけど、それでも昇殿してお祓いをしていただくと、どこか肩のあたりが軽くなっていくような気がする。これがいわゆる清々しいという感覚なのかもしれない。どこか風邪の具合も快方へ向かったような気さえする。単純だなと思いつつも、せっかくなので清々しいまま胸を張って家路に向かうことにする。

昇殿するまでに40分ほどかかった道を、帰りは数分で駐車場へ到着した。車に到着してから「そういえば、おみくじをひかなかったな」ということに気がついたのだが、昇殿参拝できたから今日はもう十分、と変な理屈をつけてそのまま帰ることにした。

そんな風にして、今年も清々しく始まった。来年の今頃は、自分はどのような状況で何をしているだろう。どちらにせよ元気で笑顔で、初詣に向かえるようにがんばろう、と気持ちを引き締めました。


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